今回は先日の12月18日まで上野の東京都美術館でやっていたゴッホとゴーギャン展にて感じたことをお話しします。
HARU
ゴーギャンは好きな画家の一人なのでふらり行ってみました。
中ではゴッホが描いたゴーギャンの椅子の絵が心に残っています。出口には2つの椅子のレプリカもあって・・・。
ゴッホの質素な椅子とゴーギャンの椅子。(ゴッホの椅子の絵は今回の展示にはなかったけれど)
YOKOはどっちの椅子が好き?
YOKO
どちらかと言うと、ゴーギャンのイスの方が好きかなぁ…。ゴッホの絵はアムステルダムのゴッホミュージアムで見たことがあります。ここは美術館の建物も印象的で思い出深いです。ゴッホのイスは確か普段はロンドンのナショナルギャラリーにありますね。
HARU
そうなのね。展覧会では2人の手紙のやり取りや、2人が一緒に暮らすいきさつから破局までの時間軸で作品が見られたの。ゴッホがどれほどゴーギャンに惹かれていたのかが伝わってくる展示で面白かったなぁ。
YOKO
作風は全然違いますよね?
HARU
ありのままを書くことを追求したゴッホと、想像の世界こそがアートだから自由に描けばいいというゴーギャン。
それぞれの思いは違っても、お互い刺激を受けたことは確かよね。やっぱり無い物ねだり・・・自分にないものを私たちも羨望して求めるものね。
YOKO
違うからこそ、惹かれ合うというのはありますよね。
HARU
そしてゴッホって本当に純朴な絵描きだったんだなってと感じました。純粋すぎる子供のような危うさを孕んでいるような・・・。まさにそれを表わしてるかのような椅子なのね、ゴッホの椅子は。まるでゴッホが佇んでいるようで、そこに惹かれます。
実質的にどんな椅子かというとスペインの民芸品らしく、今も「ゴッホの椅子を作るワークショップ」などが日本でもあるみたい。とっても単純で椅子の原点みたいに言われてもいるようです。建築家の中村好文先生もこの椅子について語っていたりして、やっぱり家具に関わっている人間には興味深い椅子なんでしょうね。
そういえば昔から日本では椅子を人間になぞらえるように呼ぶよね、椅子の「脚」、椅子の「背」、椅子の「肘」とか・・・。イギリスでは?
YOKO
?・・・アームとか、レッグとか・・・バックとか・・・、やっぱりおんなじです!
こちらでは椅子は人の居場所という意味合いも強く、権力の象徴でもあるんです。だから椅子にはこだわりが強いんだと思います。
HARU
確かに、「社長の座」って日本ではいうよね。チェアマンチェアって呼び名も椅子が権力の象徴だからだね。
ゴーギャンの椅子の絵にはゴーギャンの色彩感覚や配置をゴッホは意識していたみたい。さらに肘をつけることにより尊敬の意を表したと言われています。
YOKO
確かにこちらでも肘付き(アームチェア)は、肘無し(アームレス)より格上です。まだこの絵を描いた時は二人の関係は破局に至ってない時ですものね。
HARU
そう。でも2ヶ月で破局・・・耳を落とす。ゴーギャンはタヒチへ。
なんかね、「才能に魅せられる」って怖いことかも。同性か異性かも超えて年齢も肩書きも超えて・・・才能に魅せられると逃れられなくなるような気がします。人間性に惹かれる以上のものがありそう。恋愛感情だけなら冷めるけどチャールズイームズがレイイームズからは離れられなかったり、コルビジュエがアイリーングレイの才能に嫉妬したり・・・(この辺りの話になると、私、超長くなっちゃうからまた回を改めて!(笑))。
YOKO
とっても面白そうですね!ぜひまた改めて!
アートも今回のように「椅子」という切り口で見たり、2人の関係性という観点でも見ると、また違う楽しみ方ができて面白いですね。
HARU
おもしろいのぉ。美術鑑賞って意外と疲れるので帰りには「みはし」のフルーツあんみつ!私、和菓子好きなので。白玉をトッピングしてこれがランチに。(写真下)
ちなみに、上野にはたくさんの美術館があるけど、見終わったら世界遺産でもある国立西洋美術館のカフェすいれんでお茶するのがいいですよ。コルビジュエの建物を中庭に面したカウンター席からぼーっと眺めながら。下の2枚目の写真は、11月に上野の森美術館でデトロイト美術館展の帰りにすいれんでお茶をした時のもの。秋の紅葉が綺麗な時でした。
おまけ・・・はデトロイト美術館展で撮影した(月曜日は写真撮影可能という話題の展覧会です)マティスが椅子を描いた絵の写真。絵のタイトルは「窓」。寄木張りの床、レースのカーテン、ジュータン・・・完成されたインテリアが素敵です。1月21日まで。ゴッホやゴーギャンの作品もあります。
ではまた次回!
PHOTO : CHIHARU