昨日のブログで、ご紹介した展示場を建て替えることになったお話です。2010年ころのお話。写真上が、立て替えた後の展示場です!(撮影:ChiharuTsuji) 何かお気付きのことはありませんか?・・・笑。
上の赤いソファーの写真が、建て替え前のKnollや、イサムノグチらの家具を使ってミッドセンチュリーを意識した展示場の写真です。詳しくは昨日のブログをご覧ください。
まだ、4・5年しか経ってなかったのですが土地の関係で、住宅公園そのものが移転することになったのです。愛着のあった展示場だったので解体の時は寂しかったですね。
前回はインテリアのコンセプトを探すのに四苦八苦したのですが、この時は支店長から「和」でお願いしたい。あとはお任せ!と言われました。うわー、「和」かぁ・・・難しいなぁと思いました。営業さんたちは「和風の展示場にしたら、間違いなく来場が減る。もうそれは数字で出てる。やばいよ。ツジちゃん何とかして!」と危惧していました。(もー、私に言わないで、自分で支店長に言ってヨォ!と内心思いましたよ!いや、口に出してた気もする(-。-; ・・・)
確かに、ゆとりのある50代のお客様もとっていきたいと言う気持ちもわかる、でも現実には30代のお客様が多いのも事実。はぁ・・・どうしたものかなぁと、またまた悩む日々。アイデアは浮かばず真っ白でした。
和かぁ・・・障子だな!まず、障子がほぼ心の中で決まった感じでした。インテリアで、和を端的に示すものとして障子以上のものはないように思えたからです。そこに和風の家具置いても面白くないしなぁ・・・。と毎日考えあぐねているところに、「ツジさーん、解体する展示場の家具や備品のリストです。再利用するものに丸つけてください!でも、次は和だからあんまり使えるものないですよねー。」と営業さんからカラーコピーを渡されました。
予算がとても厳しかったし、勿体ながりの私はいつも、かなりの家具や小物を使いまわして予算の節約に励んでいました。
そうだねえ・・・、と言いつつ眺めても(これ本当にいい家具だよなぁ〜、あー勿体無い!この家具もね〜、やっぱ好きだわ〜・・・)とペラペラするばかりで、なかなかX印がつけられずにいました。そんな時に、・・・ピーン!ときたのです。
「あ!この家具、障子に合わせたい!!」
このイームズのダイニングチェアーも、ノルのテーブルも!ソファーも!サンフラワークロックも!照明だって!と、急にそのリストが宝のリストに見えてきたのです。いつだって、ピーン!は突然にやってくるんですよね。
長年海外で暮らしていた方が、日本に戻ってきて家を立てたような家!色々な世代のお客様に響く「和」と「洋」のコラボ。骨組みが決まればあとは、部材や色を組み立てていく作業です。
真っ赤なソファーを苔色に張り替えて、イームズのラウンジチェアーと、北欧ビンテージのデスクをリビングに新調しました。デスクに合わせたのは、かなりダメージ感のあるユーズドのペリアンのチェア。テレビボードは襖紙を貼るデザインをおこしました。壁を焼き杉のような黒い造作家具で作り、洋書を無造作に積み重ねました。黒い壁にかけたサンフラワークロックは、急に大人な雰囲気へと表情が変わりました。
このデスク、一番最初の写真で、裏側がシェルフになっているのがわかりますか?これは、絶対、リビングにバーンって置きたかったんですよね、くつろぐ家族のそばで、PCしたり、宿題したり、おもいおもいのことを、できる場所。外を眺められる方向に向いて。
ダイニングは、張り地さえ変えないオーガニックチェアを再利用。ここには、どうしても李朝家具のパンダジを添えたかったんです。おおよその空間をあけて設計してもらい、探しに行きました、京都まで、またまた自腹で、笑。注文できない骨董の家具は、一期一会なので、出会えなかったらどうしよう、とハラハラしながら。
そして展示場作りで、膨大な作業の一つが造作家具のデザインです。素材の選定も大切ですが、棚のピッチなども重要です。私は、その棚に何を飾るか、かなり綿密に想定します。それに合うような棚のピッチにしないと、うまく収まらないからです。背景が黒い棚に、骨董のお皿などを並べました。高価なものでは、ないのですが・・・。
前回は、リビングにしつらえたパーソナルチェアーとフロアスタンドを、寝室に入れてみました。レトロな感じが、障子に合うんですよね。写真上の左側、わかりますか?
ここは2階のファミリースペース。聚楽風の壁紙にチューリップチェアーや、オレンジ色のオブジェも意外としっくりくるんですよ。そこからバルコニーへと続くのですが、ベルトイアーのチェアはアウトドアに。
子供部屋は、そのままイームズのシェルチェアーで。女の子二人の設定は変わらないけど、ちょっとお姉ちゃんになった感じかな?
本当に、どこまで節約したんですか?って感じなんですよね。確かに私、冷蔵庫の有り合わせの食材で料理するのも得意です⁉︎
でも、前の展示場より自分的にはコーディネーターとして成長したような気がしたんです。同じミッドセンチュリーのモダンな家具でも、思いもよらないような背景(和の空間)と組み合わせることで、まるで違って見えるんですよね。インテリアの面白さっていうか、醍醐味みたいなものを、ちょっと知ってしまった瞬間というか・・・。お客様にもその意外性が新鮮に刺さったような気がしています。皆さんは、ビフォー・アフターのどちらの展示場がお好みですか?
こんな、あっさり書いてるけど、やってる最中はやっぱりプレッシャーで苦しかった思い出が。さらにこの展示場の完成間近には3,11の災害もあって、工事も大変でした。人々が不安のるつぼにいる中で、真っ黒い壁が重く暗い気持ちにさせないかと心配になったり・・・。でも、振り返れば、いつだって苦しい時が成長できた時。いい思い出です。
ちなみに、この展示場は、まだ山梨県の甲府市内に残っています。
詳しくはこちらから https://sfc.jp/ie/modelhouse/ken/19
☆前々回のブログ、2018,12,18の、Knollのショールームに行ったお話から、3話お読みいただくとよりお話が繋がります。Knollで、色々な思い出が蘇って、思い出話を書いてしまいました。でも、こうやって書き残しておくと、これから展示場を手がける方の参考になるのかもしれないな、なんて思ったりして・・・。デジカメの精度が悪かったのと、私の写真の腕も下手だったのがよくわかりますね(^^;; 悪しからず。
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ツジ チハル
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