近頃、「民藝」が妙に心に引っかかるのです。6月2日の、Eテレの日曜美術館、ご覧になりました?「微笑(ほほえ)む仏~柳宗悦が見いだした木喰仏~」というタイトルでの再放送。
木喰上人は、江戸時代の僧侶、実は私の地元、山梨の出身。なので、彼が作った木喰仏のことは知っていました。でも、長年忘れ去られていた木喰仏を、見出してくれたのが柳宗悦とは知りませんでした。録画を今見て、感動・・・。今日は、そんなお話です。
(番組関係写真はhttps://blog.kenfru.xyz/entry/2018/09/10/より)
ご存知の通り、柳宗悦は、柳宗理のお父さん。日本民藝館の初代館長。以下は、民藝館のホームページより抜粋。「民藝」という言葉を柳をはじめ濱田や河井たちが使い始めたのは、1925年の暮れである。(中略)彼らは、それまで美の対象として顧みられることのなかった民藝品の中に、「健康な美」や「平常の美」といった大切な美の相が豊かに宿ることを発見」
日本の民藝運動を巻き起こしてくれた方なんです。これも余談ですが、宗悦と私は、誕生日が同じ!
ちょっと嬉しい。
見てください、この仏様の笑顔。もう、頬骨が目にくっつきそうです。 木喰さんが、日本中を回りながら、飢えや病に苦しむ民を救うため1000体もの仏様を掘られたそうです。この笑顔に、どれほど多くの人が救われたことでしょうね・・・。
木喰仏を民藝といっていいのかはわかりません、すでにアートですね。
ちなみに、木喰とは、与えられた厳しい修行のことです。真冬でも、年老いた体に薄い袈裟1枚をまとい、わずかな木の実などを食べて、夜通し掘ったと言われています。村人は、いつ寝ているんだろう・・・と思っていたそうです。
そうやって、全国にあった仏像も、時代とともに忘れ去られ、名もなきお堂の中で埃まみれになり、虫に食われるままになっていたのを、柳宗悦が見出し、全国を回って探し出してくれたのです。私も、もっと若い頃なら、おそらくこの仏像にそれほどの感慨を抱けなかったんじゃないかと思うのです。広隆寺の弥勒菩薩などの美しさには見とれましたが、この小ぶりで、荒削りな木の像の魅力が見えなかったと思います。番組で木喰さんの生涯や宗悦とのストーリーを知ることで、余計に思いが深まります。ちなみに、私の愛聴番組は、日曜美術館、美の壷、美の巨人たち・・・アートを鑑賞するというより、その作品のストーリーや、作家の生涯を知ることができるので、楽しいです。
現在の日本民藝館の館長は、深澤直人氏(写真上:CASAブルータスHPより)。彼もまた民藝に魅せられたデザイナー。イームズ夫妻も、世界を旅する中で、各地の民芸品をコレクションしていたと言われています。それらに、インスパイアされて作られたと言われているのが、イームズハウスバード。今も、人気のアイテムです。同様に、アレキサンダージラルドのウッデンドールも、彼が自宅に飾るように作られたもので、やはり、いろいろな国の民藝品に影響を受けていると言われています。
人形などは、実用品ではなく、何か祈りとかに通じるものだったのかもしれないですね。
こういったもの以外にも、アフリカンアートや、アボリジニのアートなどにも魅力を感じます。(写真下)。もちろん、アンティークの食器や、ビンテージの家具なども大好きです。
今や、ボーダレスに、どこの国の商品もすぐに手に入れられる時代。日本の企業が海外のデザイナーを起用し、海外の企業が日本人デザイナーを起用して、その境目はありません。商品に、その国らしさ・・・といったものを反映させることは少ないのかもしれません。
歴史のある民芸品には、その土地独特の暮らしが垣間見えます。異国の文化が感じられることが貴重なんだと思います。今年のミラノサローネの出店会場にも、ジャパンブルー(藍染)やこけしなどが、ディスプレイされていたブースがあったと聞きました。
固有なものにこそ価値が見出される時代になってきたんだと思います。
2年前の今頃。友人と、民藝運動の中心的な存在の一人であった、河井寛次郎の記念館を京都に訪ねました。当時の建物の中に、陶器が溶け込むように展示されています。緑が綺麗な中庭の奥には登り窯も残っています。(写真上と下全て:その時に撮影したもの)
私は、彼の本を買って帰りました。その文章に、心の美しさが滲み出ていて、たまにペラペラとめくって見ます。日々の仕事に「詩」が感じられて癒されます。
寛次郎記念館を出ると、李朝家具を扱っているお店に立ち寄りました。京都にくると、寄りたくなります。ここで、自宅にパンダジを買ったこともあります。100年くらい昔の韓国の衣装ダンスです。李朝家具などを、愛好家は「おおらかさが魅力」と表現されることが多いですね。
日本の、舟箪笥などのような緻密さはないのですが、そのゆるーい感じがいいんですよね。柳宗悦も、李朝時代の陶磁器に、魅了されていたそうです。これらも民藝。日常の暮らしの中にあったものたち。一つづつ、手で作られたものたちです。100年たっても、捨てられずにこうやって生き延びて存在している物には何か捨てられない魅力が潜んでいます。
私、最近、つくづく思うのは、生活の中に物が溢れすぎていて、それが私たちを苦しめているということ。何かを買うときには、ながーく愛せるものを、ちゃんと選ぶことが大切なんだと思います。
経年とともに、味わいが出ないものは、ポイッて捨てられちゃうんですよね、物も人も?
わー、困った!笑。
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ツジ チハル
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